【校正の現場から】「明るみになる」は誤用? 正しくは「明るみに出る/出す」

「事件の真相が明るみになる」。ニュースでも会話でも、よく耳にする言い方ですよね。私も、なんの疑いもなく使っていました。でも辞書を引いてみたら——実はこれ、「誤用」とはっきり書かれていたんです。今日は「明るみになる/する」のお話です。

目次

ポイントを整理すると

  • 「明るみ」は、”明るい所・明るい方”を表す言葉。隠れていた事柄が、みんなの目に触れるところ、というイメージです
  • 正しくは「明るみに出る」(自然に表に出る)と「明るみに出す」(意図的に表に出す)。「事件の真相が明るみに出る」「真相を明るみに出す」
  • 「明るみになる/する」は誤用。明鏡国語辞典(第二版)にも、はっきり「誤用」と注記があります

なぜ「明るみになる」が生まれたのか

これは、二つの正しい言い方が”混ざって”生まれた形だと考えられています。「明るみに出る」と「明らかなる」。どちらも同じような場面で使う言葉なので、頭の中で交ざって、「明るみになる」という言い方ができてしまう。「明るみにする」も同じで、「明るみに出す」と「明らかにする」の混同です。

念のため——「明らかになる」「明らかにする」は、どちらも正しい言い方です。「明らか」は”はっきりしている様子”を表す言葉なので、「〜になる」「〜にする」と自然につながります。おかしくなるのは、“場所”を表す「明るみ」に「なる/する」をくっつけたときだけ。同じ「あかるみ」でも、「明らか」は様子、「明るみ」は場所——この違いが、正しい形の分かれ目です。

「明るみ」は”場所”を表す言葉なので、「なる」ではしっくりこない。場所には「出る/出す」——暗がりから、明るい所へ出てくる。そう考えると、正しい形がすっと腑に落ちます。「明るみに出る」は、広辞苑(第七版)では「やや古風な言い方」とも説明されていて、少し味わいのある表現なんですね。

現場からひとこと

この「明るみになる」、本当によく使われています。だからこそ、耳になじみすぎていて、間違いだと気づきにくい。私も辞書で「誤用」の二文字を見たときは、「ずっと使ってた…」と、ちょっとひやっとしました。

ただ、これは焦点や路地裏の話とは少し違って、辞書がはっきり「誤用」と書いているタイプ。だから校正でも、自信を持って「明るみに出る、では?」と指摘できます。よく使われるからと流さず、辞書という物差しに戻って確かめる——その一手間が、確かな文章をつくるんだと思います。

耳になじんだ言葉ほど、いちど辞書に戻ってみる。それも校正の楽しさです✍️

※事例は実際の経験をもとに再構成した架空の例です。

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