【校正の現場から】「おざなり」と「なおざり」、どっちがどっち?

「おざなり」と「なおざり」。音がよく似ていて、どちらがどちらだったか、いつも一瞬迷ってしまいます。辞書を引き比べてみたら、実はこの二つ、まったく別の言葉でした。しかも見分け方は、驚くほどシンプルだったんです。

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ポイントを整理すると

  • おざなり=やる。でも、いい加減。広辞苑(第七版)は「当座をつくろうこと。その場のがれにいいかげんに物事をするさま」、明鏡国語辞典(第二版)は「誠意のない、その場かぎりの間に合わせであること」
  • なおざり【等閑】=やらない。放っておく。広辞苑は「あまり注意を払わないさま。いいかげんにするさま。かりそめ。おろそか。ゆるがせ」、明鏡は「物事を軽くみていい加減にしておくこと。おろそか」
  • 明鏡には「形は似ているが別語」という注意書きもあります。似ているのは音だけで、中身は別ものなんですね

見分け方は「手をつけたかどうか」

この二つ、行為があるかないかで分かれます。手はつけているけれど中身が伴わないのが「おざなり」。そもそも手をつけずに放っておくのが「なおざり」。

明鏡が挙げている例が、それをはっきり示しています。

  • ◯ 自分の健康をなおざりにする / ✕ 自分の健康をおざなりにする
  • おざなりな謝罪 / ✕ なおざりな謝罪

「おざなりな謝罪」は、謝ってはいるんです。ただ、心がこもっていない。いっぽう「健康をなおざりにする」は、健康に手をつけていない。放置している。だから入れ替えると意味が通らなくなる——そう考えると、迷いようがありません。

現場からひとこと

音が似ている言葉は、つい意味も似ていると思い込んでしまいます。「どちらもいい加減な感じ」——たしかにそこは共通しているので、なおさら紛らわしい。でも辞書を並べてみると、片方は”やる”、片方は”やらない”。正反対とすら言える違いでした。

校正の現場では、こういう“空似”の言葉にこそ気をつけます。まったく違う言葉なら、間違いはすぐ目につく。でも似ている言葉は、文章の中にすっと紛れ込んで、読み流されてしまう。気づきにくいものほど、確かめる価値があるんだと思います。

やるけれど、いい加減なのが「おざなり」。そもそもやらないのが「なおざり」✍️

※事例は実際の経験をもとに再構成した架空の例です。

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