【校正の現場から】「だじゃれ混じり」?「だじゃれ交じり」? 決め手はとけ合うかどうか

原稿に「だじゃれ混じり」とありました。「だじゃれ交じりではないでしょうか」と鉛筆で書き添えました。「交じる」と「混じる」は、よく取り違えられる組み合わせです。辞書とハンドブックを開くと、見分け方ははっきりしていました。

目次

ポイントを整理すると

  • 交じる=とけ合わないまじり方です。明鏡国語辞典(第二版)の例は「黄の交じった赤色」「子供らに交じって遊ぶ」。記者ハンドブック(第14版)の例は「白髪交じり」「漢字仮名交じり」「雪交じりの雨」などです
  • 混じる=とけ合うまじり方です。記者ハンドブックの例は「絵の具を混ぜる」「酒に水が混じる」「雑音が混ざる」、そして「見分けがつかぬほど混ざり合う」です
  • 記者ハンドブックの「交」の例には、「ため息交じり」「鼻歌交じり」「片言交じり」があります。だじゃれも同じで、話の中に入ってもだじゃれのまま残ります。だから「だじゃれ交じり」です

同じ赤と黄色でも、字が変わる

いちばん面白かったのは、色の例です。明鏡には「黄の交じった赤色」、記者ハンドブックには「絵の具を混ぜる」があります。

赤の中に黄色が点々と見えていれば、黄色は元の姿のまま残っています。これが「交」です。筆でよく混ぜて、赤と黄色がオレンジ一色になったら、もう見分けがつきません。これが「混」です。同じ赤と黄色でも、まじり方で字が変わるんですね。「雪交じりの雨」が「交」なのも、雨の中に雪が雪のまま見えているからだと分かります。

ただし、この書き分けは絶対の決まりではありません。明鏡は「慣用的に『交』はとけ合わないまじり方に使う」と書いています。記者ハンドブックも「まぜご飯など、書き分けが難しい場合は平仮名書き」としています。辞書も新聞も、迷う場面があることを認めているんです。

現場からひとこと

今回は、赤字ではなく鉛筆で出しました。「混じり」が誤りだと言い切れる根拠はありません。書き分けは慣用で、辞書も新聞も迷いを認めています。それでも、ため息交じりや鼻歌交じりと並べれば、「交じり」のほうが自然です。言い切れないけれど、伝えたいこと。鉛筆は、そのためにある道具です。

以前の記事で、ベテランの方の鉛筆に教わったことを書きました。鉛筆は「こちらでは?」と提案するもので、採るかどうかは相手に任せます。気づいても何も書かずに終わったことが、これまでに何度かありました。今回は気づいて、調べて、鉛筆で出せた。小さなことですが、自分では少しうれしい一本です。

とけ合わないなら「交」、とけ合うなら「混」。迷ったら、元の姿が残っているかを思い浮かべてみてください✍️

※事例は実際の経験をもとに再構成した架空の例です。

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