「現場で経験値を積む」「トラブル対応の経験値が上がった」。仕事でもよく使う「経験値」という言葉。実はこれ、ロールプレイングゲーム(RPG)から広まった言い方だと言われているのを、ご存じでしたか?校正で由来を調べてみたら、思いがけずドラゴンクエストにたどり着きました。
ポイントを整理すると
- 広辞苑(第七版)では「これまでの経験から推測して得られる値」。もともとは統計・工学・経済などで使われる専門用語でした
- それが1980年代、RPGの広まりとともに「経験ポイント」の意味で一般化。とくに1986年『ドラゴンクエスト』以降、広く知られるようになったと言われています
- 今では「経験の蓄積量・場数・レベル感」を表す比喩として、日常でもビジネスでも自然に使われています
専門用語が、ゲームを通って日常語に
「経験値」はもともと、土木工学や統計学、国会議事録などでも使われてきた、かための専門用語でした。それが海外RPGの日本語訳で「経験ポイント」「経験度」などと訳され、やがて「経験値」という表記に定着していきます。
ファミコンで多くの人がRPGを遊ぶようになり、「経験値をためる」「レベルが上がる」という感覚が浸透。気づけば、ゲームをしない人まで当たり前に使う言葉になっていました。専門用語がゲームを通り抜けて、日常語に生まれ変わった——言葉の面白い旅ですね。
ただし、細かな時期やきっかけは記録によって異なり、「これが決定版」とは言い切れません。ここでも「こうした説がある」として受けとめておくのが、ちょうどいい距離感だと思います。
似ているようで違う「経験知」
ちなみに、よく似た言葉に「経験知」があります。こちらは経験から得た「知恵・知見・判断」を表す、少し概念的な言葉。「経験値=量やレベル感」「経験知=そこから得た知恵」と考えると、すっきり分けられます(「経験知」は広辞苑・明鏡国語辞典には載っていませんでした)。
現場からひとこと(校正のポイント)
「経験値」は今やすっかり通じる言葉ですが、少しくだけた印象もあります。かための文章や公的な資料では、「現場経験」「実践経験」「経験の蓄積」「経験から得た知見」などに言い換えると、きちんとした調子になります。どの言葉を選ぶかは、その文章がまとう空気しだい。
何気なく使っている言葉の出どころを知ると、選ぶときの解像度が少し上がる気がします。
いつもの一言の裏にも、ちょっとした物語がある。だから言葉調べはやめられません✍️
※事例は実際の経験をもとに再構成した架空の例です。

