【校正の現場から】「21%の差」?「21ポイントの差」? 率と率の差はポイントで

ゲラに「75%と54%の差は21%です」とありました。引き算は合っています。75から54を引けば、たしかに21。でも、この「21%」は単位が違います。赤字で「21ポイント」と直しました。

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ポイントを整理すると

  • 「%」は割合の単位です。率どうしを引き算した差は「%」ではなく「ポイント」(パーセントポイント)で表します
  • 「21%の差」と書くと、割合で比べた差とも読めてしまいます。ところが割合で比べると、75%は54%より約39%多い、54%は75%より28%少ない。21%という数字は、どこにも出てきません
  • 広辞苑(第七版)の「ポイント」には、「二つの百分率の値を比べた時の差。パーセントポイント」という意味が載っています。例は「前年比2ポイントの物価上昇」です(明鏡国語辞典と記者ハンドブックには、この意味の記載はありませんでした)

物価で考えると、違いがはっきりする

広辞苑の例を借りて考えてみます。物価の上昇率が、去年の2%から今年4%になったとします。率どうしの差は4−2で、「2ポイント上昇」です。

ところが割合で見ると、上昇率は2%から4%へ2倍、つまり100%増えたことになります。これを「2%上昇」と書いてしまうと、読み手には小さな変化にしか見えません。同じ出来事なのに、単位ひとつで受け取る大きさがまるで変わるんです。選挙の支持率や視聴率のニュースで「◯ポイント」と言うのも、この混乱を避けるためなんですね。

現場からひとこと

これは赤字にしました。言い回しの好みではなく、読み手が受け取る数字そのものが変わってしまう誤りだからです。根拠も広辞苑にはっきり載っています。「トマト形」の回で書いたとおり、根拠がどこまで言い切っているかで、赤字か鉛筆かが決まります。

ただ、「21%の差」はふだんの会話でもよく使う言い方です。書いた人も、誤りだとは思っていないかもしれません。だから赤字の横に、「率の差はポイントで表します」と理由を一行添えておくと、書き手も納得しやすいと思います。直すだけでなく、なぜ直すのかまで渡す。数字の赤字は、特にそれが大事だと感じました。

率どうしの差は「ポイント」。「%」と書くと、読み手が受け取る数字が変わります✍️

※事例は実際の経験をもとに再構成した架空の例です。

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