計算ドリルの校正をしていて、手が止まりました。「魔方陣」が「魔法陣」になっていたんです。たった一字の違い。
でもこの一字が、なかなか奥深いんです。
目次
ポイントを整理すると
- 広辞苑(第七版)に載っているのは「魔方陣」。縦・横いずれの行の数字も、和が等しくなるように並べたもののことです
- 明鏡国語辞典では「魔法陣」は誤用と、はっきり書かれています(正しくは魔方陣)
- でも、ファンタジー作品に出てくる「魔法の陣」の意味なら「魔法陣」で間違いではない?——文脈しだいなんです
どうして悩ましいの?
校正の現場では「あるある」の場面です。表記が揺れている。辞書によって見解が違う。文脈によって判断が分かれる。今回は算数の問題なので「魔方陣」でほぼ間違いないのですが、「もし書き手が『魔法の陣』のつもりだったら?」と考え始めると、「誤りです」とまでは言い切れなくなります。
こういうとき、校正者は赤字で直してしまうのではなく、「魔方陣では?」と根拠の辞書を添えて指摘します。直すかどうかを決めるのは、校正者ではないからです。
現場からひとこと
指摘はするけど、最終判断は編集部へ。校正者は「正解を決める人」ではなく、「気づきを届ける人」なんだと、こういう一字に出会うたびに思います。
それにしても、辞書を2冊3冊と引き比べる時間は、悩ましくも楽しい時間です。言葉の世界の奥行きを、一字からのぞいた気分になります。
迷ったら辞書を引く。それでも迷ったら、判断を委ねる——それも校正の仕事です✍️
※事例は実際の経験をもとに再構成した架空の例です。

